うまくすると、カモシカやムササビにも出会えるかもしれません。
会員がニホンカモシカ、ムササビの写真を撮ってきてくれましたので、紹介したいと思います。
(撮影:ムササビ5月3日、ニホンカモシカ4月30日)

【ニホンカモシカ】
カモシカというと奥山に生息しているイメージがありますが、やどりき水源林でも3月から5月ぐらいにかけて、それほど珍しくなく目にすることができます。
ニホンカモシカがこの時期に麓近くまで降りてくるのは、芽吹きの時期に合わせているのではと考えられています。新芽を食べに来ていて、だんだん山の上にあがっていき、夏以降はほとんど目にすることはなくなります。
ニホンカモシカはシカ科ではなく、ヤギに似た反すう偶蹄類ウシ科に属する日本固有種です。 昭和9年に天然記念物指定され、昭和30年には特別天然記念物に指定されました。
シカとの違いは、シカはオスだけが枝別れした角を持ち毎年生え変わるのに対し、カモシカは雌雄共に角を持ち、シカと違い生え変わりが無い一生ものの角です。
またシカは群れを作って行動するのに対し、カモシカは群れを作らず、それぞれが一定の行動範囲に定着しています。1頭の行動圏は雄15ha、雌10haほど。縄張り意識が強く同性に対しては排他的だが、 雄と雌で縄張りが重なっているとつがいになり、この関係が長く続く。 繁殖期は10月に始まる。雄はすぐ離れてしまい、雌は半年後の春から初夏に1頭出産し1年間は子連れでいる。寿命は15年ぐらいです。

4〜5mぐらいに接近しても逃げることなく反芻を始めました。30分ほど付き合ったのち撮影者の方から離れました。

カモシカの角輪:角には毎冬に形成される年輪(角輪)があり、年齢を推定することができます。


過去に撮影したニホンカモシカ(上:2007年3月28日、下:2010年4月4日)
【ムササビ】
ムササビはリスの仲間ですが、前足と後足の間には大きな皮膜があり、樹間を滑空することができます。樹洞などを利用して巣穴を作ります。似た仲間にモモンガがいますが、一番の違いは大きさです。滑空している姿は、ムササビは座布団ほど、モモンガはハンカチ程度です。
ムササビもモモンガも、やどりき水源林に生息しているのが確認されています。いずれも夜行性ですが、運がよければ日中にムササビの昼寝姿?を見ることができます。

スギの樹洞を利用した巣穴から、ムササビが顔を出していました。かなり眠そうです。

巣箱から顔を出したムササビ。ぱっちりした目がかわいいですね。


かながわ森林インストラクターの会は、県と協働して、ムササビやモモンガの保護を目的に、それぞれにあった巣箱を作成して水源林内に設置してきました。中には経年変化で痛みが出てきたものもあり、それらについて、新しいものに取り換える作業を行いました。(写真は新しく作成した巣箱(2016年6月作成)、取り換え時(2016年10月)の様子です。)
上のムササビは、この時に取り換えた巣箱を使用していました。