2014年04月13日

「トウゴクサバノオ」その名の由来

人工林が多いやどりき水源林ですが、よく見ながら歩いていると、多彩な植物に出会うことができます。4月12日に訪問した会員から可憐な花の写真を送ってもらいました。
その名も“トウゴクサバノオ”。
黄色味を帯びた白い花弁と思われるのは萼で、花弁は蜜を分泌する蜜弁となっています。萼のつけ根のオレンジ色の部分がそれです。

それにしても、サバノオという名はどこからくるのでしょう。トウゴクサバノオは漢字で書くと「東国鯖の尾」で、果実が鯖の尾のようだからだそうです。
もうすぐ花の後に、写真のようにサバの尾が広がったような果実を見ることができます。

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トウゴクサバノオの花

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トウゴクサバノオの果実
posted by Forester at 22:42| やどりき植物

2014年03月27日

青空に映えるフサザクラの赤

3月中旬から下旬にかけて、やどりき水源林の沢沿いのあちこちで、赤い房状のフサザクラの花を見ることができます。
花びら(花べん)はなく、赤く房状に見えるのはおしべの葯です。雌雄同株の両性花で、おしべ(葯)の根元に緑色のめしべが隠れるように多数あります。

“サクラ”の名前が付いていますが、サクラ(バラ科)とは関係なく、フサザクラ科の1科1種の日本固有種です。樹皮の皮目がサクラに似ていて、花が房状に見えることからフサザクラの名前が付いたようです。

フサザクラは渓畔林の代表的な樹木です。崩壊地に真っ先に侵入し、崩れやすいガレのような急傾斜地や、岩がごろごろした沢筋になどの裸地に定着します。
定着すると次々と萌芽して株立ち樹形となり、岩の間などにしっかり根をはります。
そして、土砂崩壊や増水によって幹が傾き倒れたとしても、萌芽幹が倒れた幹にとって代わる事ができます。このため、他の樹種が生存困難な崩壊地でも存続することができ、沢沿いなどで独特の景観をつくっています。

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フサザクラの花

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萌芽して株立ち状になった樹形と、岩の間にしっかりはった根
posted by Forester at 15:18| やどりき植物

2014年03月26日

春の水源林を彩るミツマタ

やどりき水源林の、平成19年・20年成長の森入口、周遊Bコースの巨木林付近にミツマタの群落があります。3月末から4月上旬にかけて、ミツマタの黄色い花が来訪者を迎えてくれます。

ミツマタは、コウゾと並び和紙の代表的な原材料で、皮を剥いで外皮(黒皮)の下にある柔らかな内皮(白皮)を使います。
コウゾが障子紙や書き物用の紙など、生活用具として使われるのに対し、ミツマタはその光沢や気品から、お札や証券用紙、賞状用紙として使われてきました。

寄(やどりき)の集落に住んでおられた年輩の方が、「自分が小さい頃、ミツマタの皮はぎの手伝いをよくやっていたものだ。」というお話をうかがったことがあります。
今ではミツマタの群落はやどりき水源林の一部にしか残っていませんが、昔はこの地域の多くの場所でミツマタが栽培され、皮を出荷していたのでしょう。

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人工林とミツマタの協演

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花のアップ。小さい花がボンボンのように丸く密集していますが、花弁に見えるのは顎で、よく見ると外側が白色で内側が黄色の4枚の萼片からなっているのが分かります。
posted by Forester at 15:03| やどりき植物