4月7日に観察・撮影した植物などを紹介します。
スミレの仲間

タチツボスミレ:もっともふつうに見られるスミレ。(立坪菫)の坪とは庭を指し、身近に見られて立つように生えることに名前が由来する。花は淡紫色で変化が多い。花柄(花をつけている柄の部分)は無毛。葉は卵形。托葉はくしの歯状。

オトメスミレ(シロバナタチツボスミレ):タチツボスミレの白花品種には、「オトメスミレ」がありますが、オトメスミレは距に赤紫色が残ったもので、距まで全部白いものを「シロバナタチツボスミレ」としています。中間的なものも多く、写真の個体は、左の花には距に赤紫色がわずかにあるようなので、オトメスミレのように見えますが、断定するにはもっと詳しく観察しておけばよかったと思います。スミレの同定はなかなか難しいです。

エイザンスミレ:葉が細かく裂れこむスミレは本種とヒゴスミレだけである。葉の付け根が5つに分かれているのがヒゴ、3つに分かれているのがエイザンである。種類が多く見分けにくいスミレが多い中でも本種は見分けやすい。

ニョイスミレ:別名ツボスミレ。花は白色で小さく、下弁には赤紫色の脈がはっきり出る。距(花の後部の突起部分)は短くぽってりしている。葉は心形〜腎形。スミレの仲間の中では花期が遅く、この個体もちょうど花が開き始めた頃である。

アカネスミレ:花の色が茜色なのでこの名がある。全体に短い毛が生えるのが特徴。

ナガバノスミレサイシン:その名のとおり、長い葉をもつ大型のスミレである。サイシンは、葉の形がウスバサイシン(ウマノスズクサ科)に似ていることから付けられた。花色は白に近い淡紫色〜淡青紫色。
その他の野草

ミヤマキケマン:花は総状花序につき、狭長楕円形。ミヤマの名前があるが深山には生えない。山地の河原や低地の崖などの土が崩れているような所に生える。

ジロボウエンゴサク:エンゴサク(延胡索)の仲間は、地下に塊茎を作る多年草。昔、スミレを太郎坊(タロボウ)、このエンゴサクを次郎坊(ジロボウ)と呼び、2つの花の距を引っ掛けて引き合うという子供の遊びから、ジロボウエンゴサクの名前がつけられた。

ヤマルリソウ:林道で、星のように輝くヤマルリソウがたくさん咲いているのを見つけました。

ミヤマハコベ:花弁は5枚だが、深く2裂するので10弁花に見える。深山に多いわけではなく、山の中で普通に見られる。

トウゴクサバノオ:キンポウゲ科。花が終わると緑色の細長い実が2つ、対になってつく。これが鯖の尾のようだということと、関東地方に多いことから「東国鯖の尾(とうごくさばのお)」の名が付けられた。

ウラシマソウ:花の中から伸びた糸状の付属体がよく目立つ。これを浦島太郎の釣り糸に見立ててこの名がある。長く伸びた糸の部分は、昆虫(キノコバエ)を花の内部にまで誘導する誘導路であると考えられている。
花の咲く木

ミツバアケビ:アケビとともに秋の味覚として親しまれてきたつる性の植物で、3枚の小葉があることからミツバアケビとよばれる。花序の先端に十数個の小型の雄花を10〜30個ほどつけ、基部に大型の雌花を1〜3個つける。

ヤマブキ:低山や丘陵地に普通に生える落葉の低木。美しい山吹色の花が咲くので『万葉集』にも詠まれるなど、古くから観賞されてきた。太田道灌の逸話は有名。

モミジイチゴ:葉の形がモミジに似ているというので、モミジイチゴという名がついた。白い花が下向きに咲く。果実は5月頃に黄色に熟す。食べると美味しい。

クロモジ:雌雄異株で、葉に先だって葉脇に淡黄緑色の小花を密集してつける。めしべの花柱が見えないので、この木は雄株と思われる。

アブラチャン:花は同時期に咲く同じクスノキ科のダンコウバイとよく似ているが、花柄がつくので区別はできる(ダンコウバイは花柄がない)。
春の息吹

ヤマアカガエルの卵:ヤマアカガエルの成熟した雌は毎年ひとつの卵塊を産む。早春に卵を産むのは、水生昆虫やヘビなどの天敵を避けてなるべく早くオタマジャクシを大きくする戦略だと言われている。
一方、沢筋に多く生息するカジカガエルは、流れのある沢の砂地に産むことで天敵から卵を守っている。そのため、産卵は4月から7月まで長い期間にわたる。

芽吹き始めた樹木と青い空。風薫る五月ももうすぐ。