先生は30年にわたり南足柄山地の植生を調査研究されてきました。5月18日、先生のフィールドを案内していただき、新緑のブナ林を楽しむことができました。

観察地点へは、丸太の森から林道(図の赤破線。ゲートがあり、入るためには許可が必要)を車で30分ほど行ったところから入ります。青い破線が観察ルートです。

歩き始めてしばらくは、よく整備された人工林を進みます。
この地域のブナ林は、終戦の1945年ごろには伐採され、残った母樹から生まれた子孫が、現在のブナ林を形成していると考えられています。直径20p前後の比較的若い木が多いですが、中には50pを超える木も見ることができます。


ブナA:この地域ではかなり大きいブナです。正面(上)および、下から見上げて撮影(下)

ブナB:これもかなり大きいブナです。いかにもブナらしい樹皮と枝ぶり。


佐々木先生の指導の下、コドラート法(10m×10m区画中の植生調査)で、立木の樹種、本数、胸高直径の調査を行いました。この区画の本数は31本、その内ブナが12本、その他が19本(イヌシデ、エゴノキ、イロハモミジなど)でした。
林床はスズタケで覆われ、シカの食害はほとんど見られませんでした。
林床の植物、開花していた花など

ブナの実生(それほど多くはないですが、何か所かで見ることができました。)

ギンリョウソウ(ブナの森に多い腐生植物)

ヤマツツジ

ツクバネウツギ

この地域の上部に、明神ヶ岳〜金時山のハイキングコースがあります。火打石岳頂上はコースから外れていますが、案内板には、「黒色の燧石(ひうちいし)を産出したことから、この名が起こりました。玄武岩の一種で、この石を加工して造った石器が、箱根や小田原の縄文時代の遺跡から発見されています。」と、書かれていました。